こんにちは、東大OBの山田です。
わたくしは現在、経営コンサルティングを事業としつつ、学生から社会人までを教育する教育機関を運営しています。
さて、今日は経営戦略と学習戦略を結びつけてお話します。

最終的に競争という側面の強い受験においては、どのレベルで自立しているかがポイントですね。
そういう意味では、受験までにどれくらい洗練された自立性の高い学習力を身に付けられるかが勝負を左右すると思います。

しかし、全員が全員、高いレベルで自立するのは、現実問題としてなかなか難しい側面はありますよね。
ですから、わたくしの教育機関ではこの時期になると、いかに現有学力で結果を出させることができるかという大命題にぶち当たります。

この命題に対してのここでのアプローチは経営の世界で言う競争戦略そのものになっています。
それは決して受験テクニックという類のものではありません。

経営戦略の世界において有名な競争の法則があります。
門外漢の方には耳慣れない言葉だとは思いますが、ランチェスターの法則と呼ばれる法則があります。
この法則を提唱したランチェスターさんは元車のエンジニア上がりという異色の経歴の持ち主ですが、競争においてシンプル且つ強力な法則を導き出しています。

法則は大きく分けて第一法則と第二法則に分かれます。
簡単に言うと、第一法則は強者の法則。
第二法則は弱者の法則です。

強者の法則である第一法則は戦力の優位性を最大限生かすために、戦線を拡大して総合戦に持ち込むといったことが本質です。

 

弱者の法則である第二法則は劣った戦力による不利を補うために、戦線を縮小して局地戦に持ち込むといったことが本質です。


こう聞くと何か当たり前のように聞こえる節もあるのですが、受験という戦争において法則どおりに忠実に動くというのは重要なことです。
特に戦略の判断ミスによる影響が大きい弱者に相当する場合はその重要性は極めて重要です。
実際にわたくしの教育機関においても数学が極端に苦手にも関わらず、数学を回避することができない受験生に対しては完全にランチェスターの第二法則に従った指導をしています。

こういったケースにおいては、例えば目標点を最初から6割に設定することが大切です。
そして、合計点は他の科目でカバーして引き上げるのです。

特にこういった生徒は多くのことを一度に覚えると、一気に暗記効率が落ちますから、一定の許容量を意識しながら、少ない暗記で最大限の成果を上げることを意識する必要があります。
また、もう一つの特徴として同じ間違いを繰り返すことが挙げられますが、そのような場合においては、間違いの元凶となる手順を行う回数自体を減らし、更には、常に同じ解き方で解かせることが極めて重要です。
簡単に言ってしまうと、暗記量を許容量に合わせて最適化し・ミスの出やすい手順を最少化した上で解き方を固定するのです。

こうすると、そもそも許容量オーバー、ミスのオンパレードの状態が、目に見えて改善します。
人は自分のキャパの範囲内で、しかも、多少遠回りでもミスの出にくい、そして、たった一つの解き方を繰り返せば、できることは増えていきます。
いたずらに目先を広げすぎて、全部が中途半端になるくらいなら、合計点を上げるという唯一つの視点に絞って優先順位をつけて戦線を縮小した方が良いですよね。
具体的には、難しいものは切り捨てて、ミスを繰り返している簡単なものや、多少難しくても複数教科に亘って点数アップが見込めるものなどに特化すべきなのです。

ここで紹介しているのは、戦略的な動きのほんの一部ですが、戦いの原則を頭に叩き込んだ上で、誰よりも愚直に対策を打てば、自ずと最適解は見えてきます。
受験ですので、生徒個人だけではなく、最終的には他の教育機関との塾間競争でもあるので、こういった受験に臨む戦略性においては、惜しげもなく経営コンサルで発揮している頭脳を投入して勝ちに行きたいと思います。

経営コンサルが受験戦略を本気に立てに行くのは大人気ないでしょうか(笑)。